株式投資におけるリスクと対策
※(2018年10月12日投稿分 サイト移転のため)
前の記事までで、資産運用法としての株式投資のメリットなどを挙げてみました。
しかし、良いところばかりではないということを理解しておくのはとても大切です。
では、ここでは、株式投資のデメリットとして、リスクについて、またそれを最小限に抑える対策について語りたいと思います。
リスク 株価の下落で損をしてしまう
僕が株式投資で期待しているのは、主にキャピタル・ゲインを得ることです。
キャピタル・ゲインとは、株式を安い価格で購入し、高い価格で売った時に得られる売却益のことです。
例えば、1株1000円の株を1単元(100株)、10万円で購入します。
そして、その株価が1500円になったとします。
このときの持ち株の現在の評価額は15万円(1500円×100株)となり、この状態を5万円の含み益がある、と言います。
このまま保有を続けた場合、含み益がある、つまり利益が出ている状態ではありますが、実際にそれはまだ自分のものではありません。
こうした株を売却したときに初めて利益が確定します。
この状態で売却すると、15万円(現在の金額)ー10万円(購入金額)=+5万円、ということで、5万円が売却益、すなわちキャピタル・ゲインとして資産に加えられるわけです。
ちなみに、このように売却益がでるタイミングで売ることを、利益確定売りと言います。
しかし、逆に同じ株が、1株800円にまで下げたとします。
このときの持ち株の現在の評価額は8万円(800円×100株)となり、この状態を2万円の含み損がある、と言います。
このまま保有を続けた場合、含み損がある、つまり損をしている状態ではありますが、実際にはまだ損をしたわけではありません。
こうした株を売却したときに初めて損失が確定します。
この状態で売却すると8万円(現在の金額)-10万円(購入金額)=ー2万円、ということで、2万円の損失が確定したことになります。
ちなみに、このように損失が出るタイミングで売ることを、損切りと言います。
では株の下落で損をする、というリスクを最小限に抑えるために何ができるでしょうか。
伝説のファンド・マネージャーとも言われるピーター・リンチ氏はその著書「ピーター・リンチの株で勝つ」で次のように語っています。
私は、株式に投資する場合の成否は早かれ遅かれ収益によるという確固たる考えを持っている。
株価の今日や明日、または来週の動きは単なる気まぐれでしかない。
リンチ氏が言うとおり、株価は、明日上がるのか、下がるのか、これは誰も正確に予測することはできません。
日々の株価の動きは論理的でないことが多く、「単なる気まぐれ」と呼べるものです。
しかし、この気まぐれな動きは株価の短期的な動きの場合にのみ当てはまる、ということに注目できます。
ここでリンチ氏は、「成否は収益による」、と述べています。
つまり、株価が(今日、明日、来週といった短期ではなく)、最終的に上がっていくかどうかは、その企業の業績次第であると言っているのです。
彼の本全体で示されていますが、会社がいい感じの成長率で業績を上げ、利益を増やし続けるなら、必ず遅かれ早かれ株価はそれに追随していくのです。
これは多くの、業績が伸びて成長している会社のチャートを見ると明らかになります。
短期では上がったり下がったりを繰り返していても、数年間の長期チャートを見ると、短期的な上げ下げはあるものの、全体的には右肩上がりで上昇を続けているのです。
そのように企業の財務状況や業績状況を分析して株式投資に生かす方法をファンダメンタルズ分析と言います。
ですから、先ほどの例で言えば、1株1000円の株が800円に下がったとき、業績は間違いなく右肩上がりで順調に利益も上げている、という分析に基づいた確信があれば、売却せずに持ち続ける、という選択肢をとることが出来ます。
もちろん、この状態はー200円×100株=ー20,000円の含み損なので、居心地は悪いかもしれませんが、いずれ好業績の割りに株価が安いということに市場が気付けば、再び株価は適正な価格へと上昇していくことを見込むことができるのです。
ですから、中長期の視点で株式投資に臨むことが大切だと思います。
一方、株価が下がっているのが、業績の伸びが落ちたとか、業績が悪化したためと気付いたならどうでしょうか。
そのときは手早く売却する、つまり損切りをする必要があります。
先ほど述べたように、損切りとは購入価格より安く株式を売却することで、損を確定してしまうのでなかなか難しい判断が求められます。
もう少し待ったら株価が戻るのではないか、とか、少しでも損したくないので上がるまで待ちたい、といった感情が沸いてきます。
しかし、業績が悪化しているのであれば、思い切りが必要です。
ずるずると下がるまま持ち続ければ、傷口は一層開いていくものです。
最終的には塩漬け株を所有することになりかねません。
塩漬け株とは、上がると思って買った株が予想に反して下がってしまい、 処分すると損失が出るため売るに売れなくなり、 ずるずると長期間保有している株と定義されます。
もし、先ほどの株価がさらに下降を続け200円まで落ちてしまったら、そこで売却すると8万円という大きな損失になるので、売るに売れずもはや打つ手がなくなってしまいます。
こうなる前にキズが浅いうちに、勇気を出していったん損を確定するならば、より大きな損を避けることができるでしょう。
ですから、いったん株式を購入したら、売買を頻繁に繰り返す必要はなく、その会社が成長を続けているのか業績をウォッチし続けることは大切なことだと言えるでしょう。
そうすることによって、株価下落による大損というリスクを小さくすることができるのです。
この記事では、株式投資のリスクの一つに目を向けることができました。
損失を被ることもありうる、というリスクです。
しかし、業績の良い銘柄を選ぶこと、業績の伸びが落ちたり悪化したらすばやく損切りすることで、損失を最小限にできるということを覚えておきたいと思います。
今回のポイント
会社の業績の上昇を見極め、株価の動きを中長期的に見ることで、今日や明日の株価に振り回されず、じっくりと株の価値があがるのを待つ!
そのためには、会社の業績を定期的にウォッチすることが不可欠!
次の記事では、企業の倒産などのリスクとその対策について語りたいと思います。